みなさん、こんばんは!さて今回は前回の続きのお話です・・・
前回の記事では、「
新しいお守り袋」について、お守り袋の歴史を紐解きながら
何故そういうものを作ろうと思い至ったかについてお話ししました。

今回は「新しいお守り袋」そのものについて詳しくお話ししたいと思います・・・
さて前回も新しく考案したお守り袋のデザインはどれも全て
日本古来から伝わる「
和の意匠」であるとお伝えしましたが
その中からいくつかピックアップしてご説明したいと思います・・・
まずはこちらの「
縞笹蔓緞子(しまにささづるどんす)」です!

笹の細蔓に松毬と六弁花を唐草文に意匠したこのデザインは
室町時代に中国より渡来した「
名物裂(めいぶつぎれ)」という
生地のデザインの一種で、主に茶の湯の世界で好まれています・・・
続いてはちょっと派手ですが「
紗綾形梅枝紋(さやがたばいしもん)」です!

卍を菱形に崩したような「紗綾形」は、モノの本によれば
中国の織物に倣い、天正年間に我が国で考案されたと云われます。
江戸時代に大名などが好んで着た「
江戸小紋」などにも用いられ
それに日本の伝統的な植物モチーフの梅の枝を散らしました。
最後にとても可愛らしい「
波涛兎紋(はとうにうさぎもん)」を紹介します!

これはどうみても可愛いモノ大好きの女の子狙いだろ

とか
「ウサギといえば月!」という突っ込みもありそうですが、謡曲「竹生島」にも
“
緑樹沈んで 魚木に上る気色あり 月海上に浮かんでは 兎も波を走るか ”
と謡われるように、古くから日本で好まれている取り合わせです・・・
生地だけでなく、焼き物の題材としても好んで用いられます。

また「火除け」の意味があるそうで、建物の飾りとして
彫刻や鏝絵(こてえ)などの題材にもなっているそうです・・・
まあこんな風に生地には全て「云われ」があるのです

でも、ざっと見ただけで10種類以上ありそうだけど、
全部お守り袋専用に作った生地なの?って疑問に思いませんか・・・
ぶっちゃけちゃうと、この生地は元来「お守り袋用」ではないのです!
法多山のお守類の縫製は京都西陣の織元にお願いしていますが
その織元ではお守りなど他、古都ならでは品物も作っています!
実はこの生地は、雅楽師や能楽師の方が楽器や能面をしまう袋用なのです
雅楽師や能楽師にとっても、自分の一部ともいうべき大切な楽器や能面を
しまうため袋ですから、それなりの生地を用いたいわけです!
これは「お守りを肌身離さず持ちたい」という思いに通じるはずです・・・
そんなわけで、織元さんと相談して(かなり無理を言って)、出来上がったのが
今回のお守り袋なんですが、反物からひとつひとつ寸法を取るので
例えば「
菱格子十六弁菊花紋(ひしごうしじゅうろくべんきっかもん)」の生地ですが

取る場所によって、こんなにも趣や味わいに変化が出ます・・・
これもまた既製品にはない「手作りの醍醐味」といえるでしょう
今回ご紹介した「
古代裂御守袋」は来年のお正月からお授けの予定です・・・
それでは今夜はこの辺で・・・おやすみなさい
